コップに水を入れる。
ミネラルウォーターではなく、水道の蛇口をひねって、コップに入れる。
勢いよく水を入れると、コップの中で水が回転する。
回転というのか、渦というのか。
コップの内側をぐるぐる、水が回っている。
コップは無色透明だ。
水もこれまた無色透明だ。
それでもなぜ、水の動きが分かるのか。
水に色がついていないのに、動きが分かるのか。
それは、小さな泡が、水の中に見えるから。
たくさんたくさんの小さな泡。
小さな小さな泡。
日常ではちょっと見ることがないような、見ても気づくことがないような、小さな小さな泡。
そうした泡が、コップの中でぐるぐる回っている。
メリーゴーランドのような、ゆっくりとした回転ではない。
どちらかと言えば、ジェットコースターや、はでなアトラクションのような、そうした動きを想像させる。
激しい動きの小さな泡によって、水が動いているのが分かる。
その泡は、コップの内側を回転しながら、上へ上へとあがって行く。
コップの上から見ても、この泡は分からない。
コップの横から見ると、この泡があるのが分かる。
泡は、吹雪のようにも見えてくる。
猛烈な吹雪によって、舞う雪のように、小さな泡が舞っている。
横から見ると、水には色が付いているように見えるところがある。
無色透明の水道水だけど。
まず、横から見た時は、コップの底が、一番あかるい。
コップの外側には影ができているけども、コップの内側の、底には、光のラインが白く見える。
そのあたりには、白以外の色も見える。
黄色かな。
緑かな。
紫色や、銀色にも見えてくる。
コップの回りの、机の色がそうなのではない。
机はむしろ茶色だけど、そうした色ではない色が、コップの中の、水の中に見えてくる。
コップを手に取ると、コップの側面に、先ほどの小さな泡がうっすらついている。
また、コップの向こう側の指がとても大きく見える。
2倍くらいの大きな人の指のように見える。
コップを上から下をのぞくように見ると、今度は逆に小さな景色になる。
コップの内側に水。
コップの外側には水滴はない。
水の表面はどうなっているのか。
表面張力という言葉を習ったことがあるけども。
実際、水の表面をみると凹んでいるように見える。
むしろ、水とコップが接する面である、コップの内側ぎりぎりのところは、少し持ち上がっているように見える。
コップの中の水を、口に含んでみる。
コップの内側の水。
そして、口の中にある水。
口の中に水を含んだままにしていると、コップの中の水と、口の中の水がさっきまで一緒だったのに。
小さな泡が、コップの内側に、へばりつくように現れる。
先ほどの吹雪のような泡は、水の上の空気との境界線を目指して上がっていった。
それとは違う、泡の集団が、コップにそっとくっついている。
どこから来たんだ。
いつからいたんだ。
コップを斜めにしてみる。
水がぬめええっと伸びてくる。
コップをもとのように立てると、コップの内側を、水がまたぬめっと戻ってくる。
コップの側面に目を近づけて、近づけてすると、景色がゆがんで何だかわからなくなる。
無色透明の水とコップがダッグを組むと、景色がゆがんで見えるようになる。
透明なのに、めくらまし。
コップ越しに机を見ると、縞模様が強調される。
どこかの惑星みたいだ。
土星か、木星のような、ガスがいっぱいある星の表面のように、コップの水が見えた。
コップの水を見ているようで、違うものが見えているような。
コップの水は、いっきに全部飲んだ。
コップだけが残った。
コップだけに見えるが、コップの内側には、まだ水がへばりつくように残っている。
コップと水。
おっす!おらブロガー!
上記のこの文章は実験であった。
清水良典『自分づくりの文章術』の実践編をためしてみたところ。
このブログも、型にハメすぎなところがあるから、文章だけでなんとかしてみるテストなのだった。